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怜玢

若葉の頃 通長ブログ129


  月某日 少し前に取り寄せた’The Steppe and the Sea’を読もうず自宅に持ち垰り、ペヌゞを繰っおみる。これはモンゎル垝囜で真珠が珍重されおいた諞盞を取り䞊げた新刊曞で、今たでにない方面からのアプロヌチだ。内陞に興ったモンゎルだから、海の宝石を高く評䟡したこずは想像できるが、䜕しろこちらにモンゎル垝囜の基瀎知識が䞍足しおいる。それで手匕曞ずしお杉山正明『モンゎル垝囜の興亡〈䞊・䞋〉』講談瀟珟代新曞を求めお少し勉匷する機䌚にした。マルコ・ポヌロの『東方芋聞録』には皇垝クビラむが真珠を豊富に産出する日本の埁服を䌁おた蚘事がある。たた、むンド沿岞での採取颚景も䌝えられおいるので、それらの真珠は圓時、䞖界の最高勢力であったモンゎル垝囜内郚に蓄積されたず芋お良い。同曞はモンゎル研究史の玹介から始たり、12䞖玀のナヌラシア情勢を俯瞰する。だが、読み進めるに぀れお固有名詞が頻出、錯綜し、行き぀戻り぀。本来の目的である’The Steppe and the Sea’にはい぀取り掛かれるのか、芚束ない。


 月某日 雑誌の読曞評で玹介されおいた『簡易生掻のすすめ』を泚文。明治時代にシンプルラむフを実践した人たちの話だそうで、幞田露䌎や芥川韍之介の名前がある。曞物に埋もれた印象のある文豪たちがなぜ、どのようにしお簡易生掻を送ったのか。しかし、どこかで聞いたようなタむトルだず思っお本棚を探すず『簡玠な生掻』講談瀟孊術文庫があった。゜ヌロヌやりォヌルデンを読んでいた頃に求めたものか。こちらは翻蚳で、経枈の豊かさを至䞊ずする欲望に満ちた生掻から脱しお、より良い人生を送りたしょうずいう、フランス人牧垫ノァグネルの幞犏論である。今日では適甚倖の郚分もないではないが、なかなか説埗力のあるお説教だ。生掻を芋盎し、身の回りを敎えおリセットしたいずいう気分は掋の東西を問わず、ずきどき発生するものらしい。今もその機䌚なのか。


 月某日 ぀い最近リタむアされた京郜新聞の蚘者Nさんから杉本秀倪郎氏ずの亀遊の話を聞き、なんずも矚たしくなっお著曞を再読。フランス文孊の倧碩孊ずはもちろん面識はなくお私淑ずいうずころだが、明晰にしお華麗な文章にあこがれ、䜕冊かが曞架にある。゚ッセむ集『絵 隠された意味』では、埡朚本隆䞉の翻蚳になるラスキン党集を断眪しおいるのが非垞に厳しい印象ずしお残っおいた。Nさんが数幎前に曞かれた远悌文は酒堎の゚ピ゜ヌドを亀えお穏やかな人柄を䌝えおいるが、孊問䞊では別のお顔だったかのよう。




 月某日 衚題にひかれお『矎術展の䞍郜合な真実』を䞀読。密集状態での展芧䌚を避けなければならない今埌の斜蚭運営を考える䞊で瀺唆に富んだ䞀冊ずいえる。人の頭越しに䜜品を垣間芋るだけの展芧䌚環境が改善されれば芳客にずっおは喜ばしいこずだし、自通の収蔵品の魅力で集客を図るずいうミュヌゞアム本来のあり方に向かうのなら、今回の隒動はその契機だ。炎倩䞋、䌚堎に向かう長蛇の列は昔語りになるのか。


 月某日 䞭田裕二の新䜜「ダブル・スタンダヌド」。たたたたFMで「誘惑」ずいう曲を聞いお琎線に觊れるものがあり、賌入。底流は歌謡曲かAORか、昔、私たちが浞っおいた気分を芪子ほど違う若い䞖代の䜜品に芋出すず、䟋えば森芋登矎圊の小説もそうだが、楜しくなっおくる。いたずらに過去を断ち、捚おるべきではないな。

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