2月28日5 分「桃色真珠の謎」の謎 館長のブログ162博物館の一角に小さな図書スペースがある。ずいぶん以前の話、女性スタッフが「ここのことがでています」と、文庫本のページを開いて指し示した。表紙は有栖川有栖『ダリの繭』とある。どれどれと見ると、その第九章「鳥羽にて」に「リファレンスコーナーには真珠に関する文献がコレクションされ...
1月23日4 分「マドレーヌとクッキー」館長のブログ161真珠と真珠貝に関連するお菓子の調査。昨年の和菓子部門「干菓子と最中」、「あこやとしらたま」に続いて洋菓子を取り上げよう。貝のかたちの洋菓子といえばマドレーヌ。書物によればこの焼き菓子の由来は中世にまで遡るという。以前、この欄で紹介したサンチャゴ・デ・コンポステラへの巡礼がシ...
2022年12月25日4 分「バスに乗る」館長のブログ160日常でバスを利用する機会は滅多にない。自宅の最寄りにはバス停があるが、一時間に一本では実用性に乏しい。車に乗らなくなったらお世話になるのだろうか。バスの車体も以前に比べればコンパクトになった。 それでも基幹路線はそれなりに利用者もいて、活気がある。伊勢を訪れる旅行客にとって...
2022年11月28日4 分「やちまた」とモンブラン 館長ブログ159夏の初めに南伊勢町の川口祐二さんから『村翁閑話』が届いた。川口さんは南勢町(当時)の役場を退職後、日本各地の漁村を訪ね歩いて人びとの話を聞き取り、文字として定着された記録文学者で、御年90歳の今年、三重県文化賞文化大賞を学術分野で受賞された。単著だけでも30冊以上があり、そ...
2022年10月29日4 分一号記念碑と珠の宮 館長ブログ1582023年は御木本幸吉が最初の真珠養殖に成功してから130年目の年になる。真珠産業発祥の地として、その意義の啓蒙と継承に努めなければという思いを新たにする機会といえよう。 島内に入場して最初に目につくのは「養殖真珠第一号」のモニュメントだ。プレートには「養殖真珠第一号ここに...
2022年10月2日4 分夢殿 館長ブログ157前回取り上げた「地球儀」は1993年に御木本真珠発明100周年を迎える、いわばプロローグとして1990年に誕生したが、記念事業の中心に位置づけられたのが美術工芸品「夢殿」の制作だった。いうまでもないが着想は法隆寺東院の八角仏殿で、工芸品としては大正年間に制作した「御木本五重...