top of page
怜玢

真珠ず想像力 通長ブログ127

  目䞋、次回の䌁画展の準備䞭で、リヌフレットのデザむンが決定したずころ。展瀺シナリオは曞き終えお、出品リストも倧䜓埋たり、パネルのレむアりトやグラフィック、それにケヌス内の資料配眮など、これから珟堎の調敎に入る段階です。開幕に向けおだんだんテンションが高たっおゆくが、䞀方では開幕埌の緊匵の緩和ずお客様の反応が埅ち遠しい。展瀺䜜業に限らず、むベントに向かう時はこういう気分の高揚があっお、䞀床味わうず病み぀きになるものらしい。

 今回の䌁画展は「真珠ず想像力」ずいうタむトルで、ひずが真珠に察しお抱いおきた様々なむメヌゞをご玹介しようずいうもの。たずえば朝露、月の光、涙、玔朔ず無垢の象城、健康ず長寿のお守り、「豚に真珠」の譬え等々、こうした真珠に察する倚圩な蚀説はどこで生たれ、どのように䌝承されたのかを明らかにしおみたい。むンドの聖兞、スリランカの蚘録をはじめずしお、䞭囜の詩や説話、信仰を栞ずした西欧の事䟋、そしお近代の文芞䜜品に芋られる比喩の䟋など匕甚は倚数に枡る。ここでその䞀䟋をご玹介しおおきたすか。

 たずビゞュアルずしお効果が高いのは『真珠の王囜』The Kingdom of the Pearlずいう曞物に収められた挿絵である。この本はアルメニア出身の倩然真珠商人レオナヌル・ロヌれンタヌルが著した曞物で、党152ペヌゞの䞭に真珠の歎史や採取方法、商品䟡倀や垂堎、その将来などに぀いおの解説が収められおいる。刊行幎の蚘茉はないが1919幎以降ず掚定される。675郚が印刷され、圓通はNo.340を所蔵しおいる。


「愛の真珠」

 フランスの挿絵画家゚ドマンド・デュラックがこの本に10葉の矎しい氎圩画を提䟛しおいる。それらは「真珠の誕生」「象の真珠」「魚の真珠」「猪の真珠」「竹の真珠」「蛇の真珠」「雲の真珠」「愛の真珠」「護笊の真珠」「兵士の真珠」の衚題が䞎えられおいるが、ロヌれンタヌルの本文内容ずはたったく関係がなく、デュラック独自の䞖界を描いたもの。で、その衚題に䌌た蚘述がスリランカの歎史蚘録である『マハヌワンサ』に芋られる。これは5䞖玀に成立したスリランカの歎史蚘録で、玀元前200幎玀の蚘述「第11章 デノァヌナンピダティッサ王の即䜍」に真珠採取ず莈答の堎面がある。

「護笊の真珠」












 「 たた、銬真珠、象真珠、車真珠、阿摩勒果真珠、腕環真珠、指環真珠、迊屈婆果真珠、そしお自然真珠ず名付けられた、これら8皮の真珠は倧海から珟れお、山のように岞蟺に打ち䞊げられた。これらすべおはデノァヌナンピダティッサの埳の賜ものであった。䞭略倚くの宝食品ず8皮の真珠は7日のうちに王の蚱にもたらされた。王はこれらの財宝はわが友、マりリア王朝のアショカ王のほかに盞応しい人はいない。よっおこれらを莈物ずしお圌に莈ろう。」竹内雅倫『マハヌワンサ』ブむツヌ゜リュヌション 2017幎

 スリランカの王がその埳によっお埗た8皮類の真珠をむンドの王に献じたこずが蚘されおいる。残念ながら銬真珠、象真珠、車真珠が䞀䜓どのようなものか説明はないが、蚳者の竹内雅倫さんの教瀺では阿摩勒果真珠、迊屈婆果真珠はそれぞれアヌマラカ、カクダずいう怍物の実で、アヌマラカは和名をナカン、マラッカノキずいい、その実は1.5センチから3センチになるずいう。それぞれ真珠の倧きさや圢状を瀺しおいるのだろうか。『マハヌワンサ』に぀いおはクンツがその著曞で觊れおいるが、日本語で読めるずは知らなかった。

 他にも䞭囜文献、キリスト教の経兞、それに小説や詩に珟れた真珠のむメヌゞをたずめおご玹介する。真珠研究は理科系が䞻流で倚くの業瞟が残されおいるが、文科系も負けおはいられない。お楜しみに。

bottom of page