真珠博物館長・松月清郎による読み応えたっぷりのコラム。真珠はもちろん、文学、伊勢志摩の文化、歴史、民俗など、得意分野は多岐にわたります。

9月中旬に神奈川県の三浦三崎を訪れた。横浜から京浜急行三崎口行の1000形赤い特急に乗車、所要時間90分は近鉄特急の名古屋から鳥羽と等しいが、知らない土地の路線は長く感じる。やがて特急が各駅停車になって三崎口。京急バスに乗り油壷で下車、目的地の臨海実験所入口まで歩く。初秋と...

Ｅテレの遅い時間に博物館のバックヤードを紹介する番組があって、風呂上りに楽しんでいる。取り上げられるのはいずれも著名な館ばかり。設備や什器など真似しようもないから、驚嘆と羨望の眼差しで眺めていることが多い。けれども、実際に仕事をしている学芸員の創意と工夫が垣間見える場面もあ...

同じ伊勢市に住んでゐる人でも、多くは氣づかないでゐるかも知れません。御幸道路が倉田山から楠部の坂を下ろうとする、倭姫宮のはす向かいに、丁度将棋の駒の様な、小さな一基の石碑が立ってゐるのです。皇學館大学の黒門をくぐる学生が時おり視線を向ける位で、殆ど顧みる者もありません。...

東海地方は梅雨が明けて、絶妙のタイミングで学校は夏休みに入った。夏休みは自由研究。自由研究といえば博物館の出番。真珠博物館二階にあるレファレンス・カウンターの賑わう時期が始まる。 レファレンスはそもそも図書館で利用者の問合せに対応する窓口のことだが、今ではこの名称を使ってい...

鳥羽市内には以前紹介したことのあるブランカを筆頭として、&Bake、ジュビリー、タルテット、鳥羽国際ホテルのショップなど複数の洋菓子店があるが、和菓子の店は今のところ郊外にある御菓子司梅の家一軒だけ。一方で隣の伊勢市二見町には駅から夫婦岩までの参道に酒素饅頭、赤福、御福餅、...

4月29日から始まった本年度企画展「平成の美術工芸品　地球儀と夢殿」は、二つの作品を一階の会場に移して、広々とした空間でご覧いただいている。今回は工芸品「地球儀」制作の原点となった御木本幸吉旧蔵の地球儀を30年ぶりに展示した。直径約64ｃｍ。表面に剥離が目立つが、100年の...