真珠博物館長・松月清郎による読み応えたっぷりのコラム。真珠はもちろん、文学、伊勢志摩の文化、歴史、民俗など、得意分野は多岐にわたります。

南北に長い三重県の、北は桑名市から西は名張市、伊賀市まで博物館協会に加盟する60余りの館はたいてい訪れたつもりだが、南方の尾鷲、熊野方面はあまり足を運んだ経験がない。不図、思い立ち、初冬の一日、車を走らせた。 　熊野市街から国道311号線を進む。まわりはミカン畑。整った木々...

真珠小説の収集の果て、今まで無視していた漫画にまで手を出してしまった。まずは昭和30年代に貸本漫画や「おもしろ漫画文庫」に作品を残した籠島良弘の時代漫画からご紹介しよう。日昭館漫画シリーズ4として刊行された『神変真珠の秘宝』（昭和31年）だ。...

左から昭和初期・昭和30年代・昭和40年代における海女のきめポーズ 久しぶりに講演の機会を頂きました。11月21日に鳥羽市海の博物館で行われる「海女学Ⅲ」という連続講座の第一回目です。この講座は三重大学海女研究センターの主催で、今まで主に歴史や民俗、水産の分野から海女を論じ...

秋の日の午後、伊勢の河崎を散歩。江戸時代、伊勢の物流を担った勢田川に沿って発展した問屋街で、江戸末から明治の家並みが残る。古民家の何軒かは改修され、カフェや雑貨店になっているので、そぞろ歩けば安閑とした時間が過ぎてゆく。宇治内宮前のおはらい町はハレの賑わいだが、こちらには山...

灼熱の夏もようやく過ぎようとしている。夜の涼しさはまたいうべきにあらず。月の頃は更なりとて、今月は月と星のお話を。

晴れた日、気が向けば鳥羽駅前の佐田浜にある産直の店で昼ご飯。店内にはレストランもあるが、弁当を買って屋外のウッドデッキに設えたテーブルで頂こう。岸壁越しの穏やかな海を大小の漁船や市営定期船、大型の白いフェリーボートが行き交い、澄んだ空には白い鷗。テントを軽く揺らす海風。視界...